
労働基準監督官は労働基準法・労働安全衛生法違反等の法令違反があるかどうかを調べるために、会社に対して立ち入り検査を行うことができます。これを臨検といいます。その際に帳簿や書類の提出をもとめることもできます。
*臨検の種類
@定期監督 労働基準監督署が計画を定め、それにより業種やポイント(残業時間等)を定めて行われます。 A申告監督 労働者から労働基準監督署に法令違反の申告があった場合に行われます。 B再監督 是正報告書が所定の期日までに提出されない場合や、定期監督を実施したその後の状況確認をするときに行われます。
*是正勧告書
労働基準監督官が、臨検(立ち入り検査)をして、労働基準法・労働安全衛生法違反や労働時間等の改善のための基準違反について、それぞれ指摘をした項目について所定の期日までに事業主に是正を求める書面となります。その書面に受領年月日と受領者職氏名を記名することになっています。
*指導票
法令違反には至らないが、改善したほうが好ましい場合に労働基準監督官が会社に対して交付する文書です。その書面に受領年月日と受領者職氏名を記名することになっています。
*御社は大丈夫ですか? 「是正勧告を未然に防止」
是正勧告を受けやすいチェックポイント
@就業規則
- 作成されているかチェックされます。(事業場の従業員10人以上の場合)
- 監督署に届け出ているかチェックされます。(事業場の従業員10人以上の場合)
- 従業員の意見を聞いているかチェックされます。
- 周知されているかチェックされます。
A36協定
- 36協定が締結されているかチェックされます。
- 監督署に届け出ているかチェックされます。
- 限度時間の時間のチェックをされます。
B出勤簿、タイムカード
- 36協定の限度時間を超えていないかチェックされます。
- 極端に残業時間が多い場合はチェックされます。
- 休日出勤、法定休日出勤があるかチェックされます。
- 交代勤務、深夜勤務があるかチェックされます。 (健康診断の実施が2回になるため)
C年間休日カレンダー
- 出勤日数、所定労働時間を参考にして残業単価をチェックされます。
D雇用契約書
- 期間の定めのある従業員がいる場合は雇用契約書が締結されているかチェックされます。
- 雇用契約書の内容に不備がないかチェックされます。
E定期健康診断
- 法定どおりに健康診断をしているかチェックされます。
F安全管理者・衛生管理者・産業医
- 「安全管理者・衛生管理者・産業医」が選任されているかチェックされます。
(事業場の従業員50人以上の場合)- 監督署に届け出ているかチェックされます。
G安全・衛生委員会
- 設置されているかチェックされます。
- 議事録をチェックされます。
H有給休暇管理簿
- 有給休暇の取得状況をチェックされます。
*もし是正勧告を受けてしまったら
まず、大切な事は所定の期限までに実態にともなった改善内容を記載し是正報告書を提出することです。故意にこのことを怠り、悪質であると判断された場合は送検される場合もあります。その上、新聞等により企業名が公表されてしまったら多大な損失になることは言うまでもありません。また、是正の途中に、労働安全衛生法等関係法令違反を原因として労働災害を発生させた場合にも、送検の手続きをとられることもあり、また労働者災害補償保険法により特別に費用の徴収をされることもあります。これらのことは絶対に避けなければなりません。
是正勧告を受けたことはマイナス要因ではありますが、見方によっては企業内のコンプライアンスの見直しにつながるのではないでしょうか。見直しをした結果、トラブル防止、従業員のモチベーションとモラルの向上が図られ企業の業績がアップされるケースも考えられます。是正勧告に対しては前向きな姿勢での対応が必要です。
是正勧告を受け、どのように改善したらいいのか判断に迷うケースがありましたら、当事務所にご相談下さい。 企業様のお悩みを解決します。 また、「是正勧告を受けやすいチェックポイント」をはじめ、企業様の細部の状況をお聞きして是正勧告を受けない企業作りをお手伝いします。